働き方の変化2026-08-18監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

北陸で増える中継輸送、ドライバーの働き方と稼ぎ方はどう変わるか

この記事の要点

「荷物を積んだまま富山で乗り換えて、あとは知らないおじさんが福井まで持っていく。最初は変な感じでしたけど、慣れたら『これはこれでいいな』と思いました」――先日、ある40代の男性ドライバーの方が面談でそう話してくれました。

この方が体験しているのが、いま北陸で広がりつつある「中継輸送」です。結論から申し上げますと、中継輸送は仕事を奪う仕組みではなく、拘束時間と帰宅頻度をドライバー自身がある程度選べるようになる、新しい働き方の形だと僕は考えています。2024年問題という言葉が独り歩きしがちですが、その具体的な現れの一つがこの中継輸送だと捉えていただくと、実態がつかみやすくなると思います。

1. 中継輸送とは何か――北陸でなぜ広がっているのか

中継輸送とは、長距離の輸送区間を複数のドライバーで分担し、途中の拠点で荷物やトレーラーを引き継ぐ運び方です。たとえば富山から関西方面まで一人で通しで走っていた区間を、富山側のドライバーが中継拠点までを担当し、そこから先は別のドライバーが引き継ぐ。それぞれが自宅のある地域から拠点までの往復で運行を終えられるため、日帰りの運行が組みやすくなります。

改善基準告示2024で拘束時間の上限が引き下げられたこと、そして時間外労働の上限規制が適用されたことは、別の記事で詳しく触れていますのでここでは繰り返しませんが、要は「一人で長く走る」という従来の運び方そのものが制度上きつくなったということです。国土交通省も中継輸送拠点の整備を支援する事業を展開しており、北陸のように製造業のサプライチェーンを支える地域では、この流れが実際の求人票にも表れ始めていると僕は感じています。片道200キロ前後の区間を境に、中継地点を設定する動きが目立つというのが、僕が求人票や現場の話から拾っている体感の目安です。

2. どこに拠点ができているのか――富山・石川・福井の内陸物流団地と港湾接続

北陸三県を見渡すと、中継拠点は北陸自動車道のインターチェンジ周辺や、内陸の物流団地に集まりやすい傾向があります。富山であれば高岡・小矢部エリア、石川であれば白山や金沢港に近いエリア、福井であれば敦賀や武生エリアといった具合に、幹線道路と港湾・製造拠点の両方にアクセスしやすい場所が選ばれています。

富山新港や敦賀港で働くという選択肢については別記事で扱っていますが、港湾そのものだけでなく、港と内陸の製造拠点をつなぐ中間地点にも、中継のための拠点機能が増えてきているのが北陸の特徴だと思います。地図で見ると分かりやすいのですが、北陸自動車道という一本の軸の上に、製造業の工場・港湾・中継拠点が数珠つなぎになっているイメージです。僕が面談で聞く限り、こうした拠点は自社専用のトラックターミナルというより、複数の運送会社が共同で使う中継センターの形をとっているケースが多いようです。

3. ドライバーの一日はこう変わる――拘束時間・日帰り化・引き継ぎの実務

従来の長距離運行では、朝出発して翌日か翌々日に帰ってくるという運行が珍しくありませんでした。中継輸送を組み込んだ場合、たとえば朝5時に出発し、午前中に中継拠点で荷物を引き継ぎ、午後には自宅のあるエリアに戻ってくる、というような一日の組み方が可能になります。拘束時間が短くなり、家庭で過ごせる時間が増えるという声を、僕は面談の中で何度も聞いてきました。

ただし、良いことばかりではありません。引き継ぎの実務には、思った以上に神経を使います。僕が聞いた話では、荷物の傷や汚れの確認を引き継ぎ時に省略してしまい、どちらの区間で発生した損傷か分からなくなって、双方の会社の間で1週間近くもめたケースがあったそうです。最終的にはドライブレコーダーの映像を突き合わせて発生区間を特定し、以降は引き継ぎ時に必ずスマートフォンで荷台の四隅を撮影するというルールに変えたと聞きました。伝票の記載漏れや、他社ドライバーとのちょっとした連携ミスが、そのままトラブルの種になりやすいのが中継輸送の弱点だと感じています。

地場配送・長距離便・中継輸送の違いを整理する

働き方帰宅の頻度拘束時間の傾向収入の作られ方
地場配送毎日帰宅比較的短め時間給・固定給が中心
長距離便(通し)数日に一度長くなりやすい歩合の比重が高い
中継輸送基本は日帰り区間分担で短縮しやすい固定給・時間給の比重が高まる傾向

4. 収入はどう動くか――歩合から固定給シフトへの体感値

地場配送や長距離便の給与相場については別記事で詳しく触れていますので、ここでは中継輸送特有の傾向にしぼってお話しします。長距離を通しで走る運行は、走った距離や運んだ量に応じた歩合の比重が高く、稼げる月とそうでない月の差が大きくなりがちです。一方で中継輸送は、担当する区間が決まっている分、時間給や固定給の比重が高い給与設計になっていることが多いと感じています。

山根の体感値で言うと、月収の絶対額が大きく上がるというよりは、月ごとの振れ幅が小さくなり、年間で見たときの見通しが立てやすくなる方が多い印象です。同じ距離を走っても、通しの長距離便では繁忙期と閑散期で月収が数万円単位で上下する一方、中継輸送で区間を固定した方は、月ごとの差が1万円前後に収まっているという話を聞いたこともあります。もちろんこれは会社ごとの給与設計次第で変わりますので、面接の場で「中継区間の担当分は歩合と固定給のどちらで計算されるのか」を具体的に確認しておくことを、僕はおすすめしています。

5. 向いている人・向いていない人を軸で分ける

中継輸送への向き不向きは、一つの物差しだけでは測れないと僕は考えています。人間力・職種経験・技術スキルという三つの軸に分けて考えてみてください。

人間力の軸で見ると、初めて顔を合わせる他社のドライバーとも、荷物や車両の状態を丁寧に確認し合える人が向いています。挨拶や確認作業を省略しがちな人は、引き継ぎトラブルの当事者になりやすいというのが、僕が現場で見てきた実感です。

職種経験の軸で見ると、長距離便の経験がある人は、当日の運行感覚をそのまま生かしやすい傾向があります。逆に地場配送しか経験がない人は、中継拠点特有の伝票の扱いや待機時間の過ごし方に慣れるまで、多少の時間がかかるかもしれません。

技術スキルの軸で見ると、大型免許や中型免許はもちろんのこと、フォークリフト免許を持っていると積み替え作業に対応できる場面が増え、拠点側から重宝されやすくなります。フォークリフト免許と倉庫職の関係については別記事で詳しく扱っていますので、あわせてご覧いただければと思います。

6. よくある失敗とその対処法

中継輸送に移った方から、僕が実際に聞いた失敗談を三つ紹介します。一つ目は、先ほど触れた引き継ぎ時の損傷確認漏れです。対処法は、引き継ぎのたびに荷台やパレットの四隅を写真に撮り、双方のスマートフォンに残しておくことでした。この一手間を習慣にしてから、トラブルの発生自体が目に見えて減ったという話を聞いています。

二つ目は、中継拠点での待機時間の過ごし方が分からず、休憩のはずがかえって手持ち無沙汰で疲れてしまったという声です。これについては、拠点に仮眠スペースや休憩室があるかどうかを事前に確認し、簡易的な椅子やひざ掛けを車に積んでおくという工夫で解決した方がいました。三つ目は、引き継ぎ相手の会社が変わるたびに伝票の書式が違い、慣れるまで数週間かかったという話です。これは会社側に伝票のひな形を統一してもらうよう相談することで、次第に改善したケースがあると聞いています。いずれも、事前に「起こりうること」として知っておくだけで、実際に直面したときに慌てずに対応できる類のものだと僕は思います。

7. 今日からできる情報収集とキャリアの動き方

中継輸送への転職や異動を考えるなら、まず求人票の中に「中継地点あり」「日帰り運行」といった記載があるかを確認してください。記載がなくても、面接の場で担当区間の距離や中継拠点の場所を具体的に聞くことで、実態がかなり見えてきます。次に、引き継ぎの手順が文書化されているかどうかを確認してください。口頭だけの引き継ぎに頼っている会社は、先ほどお話ししたようなトラブルが起きやすい傾向があると僕は見ています。最後に、拠点に休憩施設や仮眠のスペースがあるかどうかも、日帰り運行の疲労を左右する重要なポイントです。

僕がおすすめしているのは、面接に向かう前の10分ほどで良いので、地図アプリで自宅から候補の中継拠点までの距離と所要時間を調べておくことです。往復の移動時間がそのまま拘束時間の一部になりますので、求人票に載っている給与や休日数だけでなく、この移動時間込みで一日の生活リズムを具体的に想像してみてください。この三点を面接でひとつずつ確認していくことが、入社後のミスマッチを防ぐ一番の近道になると考えています。

(結論)

中継輸送は、2024年問題という制度の変化がきっかけになって北陸で広がってきた、比較的新しい働き方です。拘束時間が短くなり日帰り運行が増える一方で、引き継ぎの実務には従来とは違う神経の使い方が求められますし、慣れるまでのちょっとした失敗もつきものです。収入の作られ方も歩合中心から固定給中心へと変わりやすく、良し悪しではなく「働き方の選択肢が増えた」と捉えるのが実態に近いと僕は考えています。皆さんいかがでしたでしょうか。ご自身の生活スタイルに合った働き方を見極める材料として、今日お話しした内容を役立てていただけたら嬉しいです。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 中継輸送ってどういう働き方ですか?

中継輸送とは、長距離の輸送区間を複数のドライバーが拠点で分担し、荷物や車両を引き継ぎながら運ぶ働き方です。片道だけを担当して当日中に自宅に戻れる運行が組みやすくなるのが特徴で、北陸では2024年問題を背景に広がりを見せています。改善基準告示2024が定める拘束時間の上限に収めやすい点が、事業者側が導入を進める大きな理由になっています。

Q. 中継輸送だと給料は減りますか?

必ず減るわけではありませんが、収入の作られ方が変わる傾向があります。長距離を通しで走る歩合中心の稼ぎ方から、時間給・固定給の比重が高い稼ぎ方にシフトすることが多く、山根一城の体感値では月収の高い月と低い月の差が小さくなる人が目立ちます。単純な増減ではなく、収入の安定性が変わると捉えるのが実態に近いと考えています。

Q. 北陸で中継輸送の求人はどこで探せますか?

富山・石川・福井のインターチェンジ周辺や内陸の物流団地、港湾に近い拠点の求人票に「中継地点あり」「日帰り運行」といった表記が見られます。求人票だけでは実態がつかみにくいので、面接時に引き継ぎの具体的な手順や休憩施設の有無を確認することが、入社後のミスマッチを避ける近道になると僕は考えています。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

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